鍛えられた美しさ

過酷な試練を乗り越えたものには、特別な美しさが宿ります。引き締まった肢体、深層から湧き出るような艶、そして凛とした緊張感。

また、鍛えられることで比類ない強と美しさを手に入れます。

MIORINGの工房では、様々な加工技術の中からデザインや素材に合わせ、鍛造・鋳造・その両方を組み合わせた製法など、手法を高度に組み合わせて指輪をお作りしています。中でも鍛造は最も特徴のある伝統的な技のひとつ。
時間と手間をかけ、貴金属に魂を宿らせる厳粛な指輪作りです。

自由鍛造

真っ赤に燃える液体から個体に冷やされた貴金属は、再び赤い光を放つまで炎を浴び、叩き、伸ばされます。加工によって組成が硬化すると再び炎にさらされ、また幾度もハンマーを浴びる。この工程を繰り返し、金属は少しずつ指輪として形作られていきます。

強靭な素材を求めて使用される鍛造製法の中でも、現在では多くの指輪が型やプレス機を使用する「型鍛造」の手法で、工業製品のように量産されています。これに対してMIORINGはクラフトマンの手と工具だけで形作る「自由鍛造」を受け継ぎ、守り続けています。

金属は鍛えるほどに硬くなりますが、限界を超えれば破断してしまいます。機械を使って一律に80点に鍛えるのではなく、素材との対話で限界を見極め、突き詰めて鍛えるのが自由鍛造の肝です。

求めるのは、機械では計ることのできない人との一体感。手間がかかるうえ、クラフトマンの経験と勘、熟練が不可欠ですが、「数値に現れない美しさ」追求できるのは、この技の外にありません。

比類ない強さと高い質感

伝統の技によって鍛え上げられた貴金属は、比類ない強さを授かります。加熱と圧縮を繰り返すことで金属は凝縮され、傷や凹みに強くなります。また、単に中身が詰まっているだけではなく、金属の原子と原子の配列が変化し、擦れ合って硬度を増す「加工硬化」が起こることで、変形への圧倒的な強さを身につけるのです。

自然界で最も硬いダイアモンドが素晴らしい光沢を見せるように、硬くなった金属は素晴らしい輝きを放ちます。そして、炎の中で純化したかのような質感とずっしりとした重量感を備えるのです。

貴金属の奥底にある力と、クラフトマンの魂を一つに擦り合わせる儀式。
着用したときに感じる鼓動の高まりは、ご自身のものだけでなく、鍛え上げた金属に宿った鼓動が寄り添っているのかもしれません。